映像翻訳とは?(1)|映像翻訳の世界

「映像翻訳」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。
インジェスターでは様々な翻訳分野のうち、映像翻訳を最も得意としています。
今回から映像翻訳の様々な世界をご紹介いたします。

映像翻訳とは?

「映像翻訳」とは、その名のとおり「映像作品を多言語化する翻訳」のことを指します。
辞典的な確たる定義があるわけではありませんが、広義には以下の2つの映像翻訳があるかと思います。

  • 字幕(読む):内容の翻訳を字幕という形にし、観客の方が読んで理解できるようにする
  • 吹替(聞く):内容の翻訳をナレーションという形で制作し、聞いて理解できるようにする

今回は字幕を中心にご説明したいと思います。

映像翻訳を考える切り口

映像翻訳について考えてみる際、言語やパッケージなどの
切り口によっていくつかの分類わけが考えられます。

パッケージ

映像コンテンツが最終的に供される、”パッケージ”の観点でみると、以下のものが考えられます。

  • 劇場作品:劇場公開作品の翻訳。「映像翻訳」というとここが一番想像しやすいでしょう。
  • 放送用作品:地上波や衛星放送などの放送用に供される作品の翻訳です。
  • パッケージソフト:DVDやブルーレイなどのパッケージで販売される作品を翻訳する場合です。
  • 動画ストリーミングサイト:動画ストリーミングサイトで扱われる作品の翻訳です。ここ数年最も活発な分野かもしれません。
  • その他動画:近年ではいわゆるコンテンツや作品としての映像だけでなく、企業がPRや広報を行う際に動画を使用するケースも増えてきました。そうした動画素材の多言語化も映像翻訳に含まれます。

言語の組み合わせ

言語の組み合わせでも分けて考えることが可能です。

  • 外国語→日本語:外国語のコンテンツを日本で鑑賞できるようにするためのもの。
  • 日本語→外国語:日本語のコンテンツを外国語に翻訳するもの。

従来の映像翻訳では”外国語→日本語”が主な需要となっていました。近年では”日本語→外国語”の需要も高まっています。

ジャンル

翻訳の元となる映像作品のジャンルによっても分類が可能です。
ジャンルに関しては挙げればキリがない部分もありますが、代表的なものを列記してみます。

  • 映画
    -アクション
    -SF
    -コメディ
    -サスペンス
    -スリラー
    -ロマンス etc
  • TV番組
    -ドラマ
    -スポーツ
    -バラエティ
    -旅番組
    -ドキュメンタリー
    etc
  • グローバリゼーションが進むにつれ、モノだけでなくコンテンツの流通も増えてきました。
    映像翻訳の世界もその流れに沿うように、様々なジャンルの作品を、様々な言語で、様々なパッケージに供するために多様化してきたといえます。

    映像翻訳とテキスト翻訳との違いは?

    こうした多様な面のある映像翻訳ですが、いわゆる一般的なテキスト(文書)翻訳との
    違いはどのような部分でしょうか?

    大まかにいうと以下の3つが異なります。

    放送ルール

    映像コンテンツは最終的に多くの方の目に触れます。そういった点で要求されるのが「放送ルール」などへの準拠。
    差別語などを含む放送禁止用語が字幕に入っていないよう、
    一般的なテキスト翻訳よりも厳しくチェックする必要があります。

    そういった点で映像翻訳のチェック(校正)業務は、一般的な翻訳校正(訳文が正しく訳されているか?)といった観点だけでなく、書籍等で行われる校閲や”裏取り”(表記や言葉遣いに禁止されているものを含んでいないか?事実関係などに間違いがないか?)作業の一部を含む形になります。

    独自の字幕ルール

    字幕を制作する上で重要となる別の側面は「可読性」です。
    映像作品はどんどん場面が転換し、シーンが移り変わっていきます。そのため、パッと見て一瞬で内容を理解できるようにすることが重要です。具体的に言えば、人間が一般的に認知できる文字数に訳文を収める必要があります。

    文字数に関して国際的に定められたルールがあるわけではありませんが、
    たとえば日本語字幕の場合、1秒間に表示できる文字数が4文字がスタンダードだといわれています。
    (こうした文字数(単語数)は言語によっても異なります。)

    これらの文字数制限があるために、映像翻訳では訳文の長さを意識した翻訳をする必要がでてくるのです。

    限られた文字数の中で、いかに原語のニュアンスを忠実かつ豊かに伝えるか?
    これこそが映像翻訳者の腕の見せ所といえるでしょう。

    多くの付帯作業を伴う

    映像翻訳に関してテキスト翻訳とのもっとも大きな違いは、単に翻訳するだけでない多くの「付帯作業」が伴うことです。
    たとえば、映像翻訳・字幕制作には以下の作業が伴います。

 テキスト翻訳 映像翻訳
 1.翻訳  1.デジタイズ
 2.校正 2.スポッティング
3.最終チェック
(媒体への書き出しと確認)
 3.ヒアリング(原音聞き起こし)
  4.翻訳
 5.校正
 6.字幕挿入(字幕データ制作)
 7.仮ミックス
 8.完パケ

 

必ずしもすべての案件で全工程を行うわけではなく、クライアントさまのご要望や元素材の状況により実施することは変わります。ただ、上の表を見ると、映像翻訳が実に多くの付帯作業を伴うことがよく分かるかと思います。

このように映像翻訳は、テキスト翻訳とはまた違った世界を持つ翻訳の1ジャンルです。
インジェスターではこうした映像翻訳、字幕制作を長年行ってきました。
今後も、このような奥深い映像翻訳の世界についてご紹介していきます。

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