はじめに:申請の「差し戻し」を防ぎ、スムーズな協議会入会を
特定技能外国人材を製造業分野で受け入れるためには、まず「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への入会が必須です。しかし、この入会申請、実は簡単なものではありません。
経済産業省によると、入会届出から確認完了まで約2ヶ月程度の期間を要するのが現状です。もし提出した申請書類に不備があれば、差し戻しとなり、修正と再確認でさらに時間がかかってしまいます。計画していた外国人材の受け入れスケジュールに、大きな遅れが生じる可能性も否定できません。
そこで本記事では、申請担当者の皆様が初回での受理を目指せるよう、経済産業省が公開している公式の「書き方見本」や「FAQ」に基づいた、提出前にご自身で確認できる「セルフチェックリスト」をご用意しました。
記事の末尾にダウンロード可能なPDFのリストをご用意しました。ぜひ、書類提出前の最終確認にご活用ください。
基本の4項目!全事業者必須の提出書類チェックリスト
協議会への入会申請では、まず以下の「必須提出セット」を揃える必要があります 。これからご紹介するチェックリストは、これらの書類を不備なく作成するためのものです。
- □ 【内容1】製造品の画像と説明文
- □ 【内容2】完成品(最終製品)の画像と説明文
- □ 【内容3】製造品を生産するために用いた設備の画像と説明文
- □ 【内容4】事業実態を確認できる、直近1年以内の証跡画像
*必要書類については下記の記事でもご案内しています。
写真で落とされない!画像・説明文のチェックリスト
写真1枚、説明文一行が、受理・不受理を分けることもあります。ポイントを押さえて、事業実態が明確に伝わる画像を用意しましょう。
チェックリスト1:製造品の画像と説明文
- □ 届け出る製造品が単体で、カラーかつ鮮明に写っていますか?
- 解説: 公式の「書き方見本」では、「単体かつ接写で明瞭なもの」と指定されています 。ぼやけた写真、モノクロ写真、複数の製品が写っていてどれが対象か分からない写真は、差し戻しの原因となります。
- 解説: 公式の「書き方見本」では、「単体かつ接写で明瞭なもの」と指定されています 。ぼやけた写真、モノクロ写真、複数の製品が写っていてどれが対象か分からない写真は、差し戻しの原因となります。
- □ 「製造品名称」「素材」を明記していますか?
- □【めっき業・プラスチック製品へのめっき加工の場合】めっき処理の「前」と「後」、両方の画像を添付していますか?
- 解説: めっき加工を証明する場合、加工前後の状態を示すことが求められます 。
- □【プラスチック製品の場合】対象となる5つの「成形方法」のいずれかを明記していますか?
- 解説: プラスチック製品製造業で特定技能外国人を受け入れるには、従事する業務が特定の成形方法である必要があります。以下のいずれかに該当するか確認してください 。
- プラスチック成形:圧縮成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形
- 強化プラスチック成形:手積み積層成形
- 解説: プラスチック製品製造業で特定技能外国人を受け入れるには、従事する業務が特定の成形方法である必要があります。以下のいずれかに該当するか確認してください 。
- □ 完成品のどの部分で、どのような役割を果たすか、用途や機能が具体的に説明されていますか?
- 解説: 「完成品にとって必要不可欠な部品である」ことが審査側に伝わるように、具体的に記載することが重要です 。
- 解説: 「完成品にとって必要不可欠な部品である」ことが審査側に伝わるように、具体的に記載することが重要です 。
チェックリスト2:完成品(最終製品)の画像と説明文
- □ 完成品の全体像がわかる画像ですか?
- 解説: 権利関係で実際の完成品の撮影が難しい場合は、「イラストや類似製品等の例示で構いません」とされています 。
- 解説: 権利関係で実際の完成品の撮影が難しい場合は、「イラストや類似製品等の例示で構いません」とされています 。
- □ 製造品が完成品のどこに使われているか、組み込み位置などを矢印などで明確に示していますか?
- 解説: これは必須項目です 。忘れずに矢印等で使用箇所を明示しましょう。
- 解説: これは必須項目です 。忘れずに矢印等で使用箇所を明示しましょう。
- □ 「完成品名称」と「完成品の説明」が記載されていますか?
チェックリスト3:設備の画像と説明文
- □ 対象の製造品を製造している設備そのものが、明確にわかる写真ですか?
- 解説: 工場全体の遠景写真だけでは、どの設備で製造しているか判断できず、不備とみなされます 。
- 解説: 工場全体の遠景写真だけでは、どの設備で製造しているか判断できず、不備とみなされます 。
- □ 手元の近影など、具体的な作業工程がわかる写真になっていますか?
- 解説: 審査側が「この設備を使って、このような作業をしている」と具体的にイメージできる写真が「良い例」とされています 。
- □ 設備の用途や機能、製造工程が具体的に説明されていますか?
整合性が命!証拠書類のチェックリスト
日付や名称の不一致など、ケアレスミスが差し戻しに直結します。細部までしっかり確認しましょう。
チェックリスト4:出荷証憑(納品書・注文書など)
- □ 届出日から「直近1年以内」の日付になっていますか?
- □ 書類に記載の「製造品名」と、届け出る製造品が一致していますか?
- □ 「自社名(申請する事業所名)」「取引先名」「日付」など内容が鮮明に読み取れますか?
- □ 届け出る製造品がわかるようにマーカーを引く、または不要な部分を黒塗りにしていますか?
- 解説: 複数の品目が記載されている場合、どれが対象の製造品か分かるように示すことが親切です 。
- 解説: 複数の品目が記載されている場合、どれが対象の製造品か分かるように示すことが親切です 。
チェックリスト5:請負契約書(該当する場合)
- □契約書のタイトルがよくわかるようになっていますか?
- □2社間の署名済み契約であることがわかりますか?
- □ 両社の署名・押印が鮮明に確認できますか?
チェックリスト6:理由書(画像提出が不可の場合)
- □ 画像を提出できない具体的な理由(例:顧客との守秘義務契約)を明示していますか?
- □ 画像がなくても製造実態が伝わるよう、文章やイラストで詳細な説明を補っていますか?
- 解説: 理由書を提出する場合でも、製造品が不明では審査ができません 。文章で「完成品のどの部分に利用されどういった効果をもたらすのか」などをできる限り詳細に説明する必要があります 。
- 解説: 理由書を提出する場合でも、製造品が不明では審査ができません 。文章で「完成品のどの部分に利用されどういった効果をもたらすのか」などをできる限り詳細に説明する必要があります 。
- □ その他、理由となりうるだせる資料が(仕様書・工程説明等)添付されていますか?
最終確認!基本情報と最重要「産業分類」のチェックリスト
書類の体裁が整っても、根本的な情報が間違っていては元も子もありません。最後の砦として、以下の項目を確認してください。
チェックリスト7:会社情報の整合性
- □ 届出情報(会社名、住所)は、国税庁法人番号公表サイトの情報と完全に一致していますか?
- □ 事業所名や所在地は、自社ホームページの記載と一致していますか?
チェックリスト8:日本標準産業分類の妥当性
- □ 自社の製造品が、協議会ポータルサイトの「対象となる産業分類一覧」に掲載されていることを確認しましたか?
- 解説: これが最も重要で、かつ判断が難しいポイントです。そもそも自社の事業が対象外であれば、申請は受理されません。公式のFAQでも、該当性の判断はまず「日本標準産業分類に基づき該当性を確認していただく必要があります」と案内されています 。
- 解説: これが最も重要で、かつ判断が難しいポイントです。そもそも自社の事業が対象外であれば、申請は受理されません。公式のFAQでも、該当性の判断はまず「日本標準産業分類に基づき該当性を確認していただく必要があります」と案内されています 。
- □ 届出書類で選択した産業分類と、製造品が正しく紐づいていることを確認しましたか?
- □ 間違いが多いとされる分類(例:プラスチック製品製造業)や、自社と関連が深い分類について、公式FAQで類似ケースを確認しましたか?
- 解説: 特にプラスチック製品製造業の届出は間違いが多いため注意が必要です 。また、公式FAQには様々な個別相談ケースが掲載されているため、自社のケースと近いものがないか事前に確認することをお勧めします 。
- 解説: 特にプラスチック製品製造業の届出は間違いが多いため注意が必要です 。また、公式FAQには様々な個別相談ケースが掲載されているため、自社のケースと近いものがないか事前に確認することをお勧めします 。
【ダウンロード可能】チェックリスト
上記の内容をご確認していただきやすいよう、PDFでのチェックリストをご用意しました。
登録等不要でダウンロードしていただけます。
まとめ:インジェスターで確実な審査突破を
ここまで読んで、「うちの会社だけで進めるのは難しいかも…」と感じた方もいるでしょう。
そんなときは、私たちインジェスターにお任せください。公式受託企業として30,000件以上の相談対応を行ってきた経験を活かし、迅速な加入ができるよう貴社の申請を代行・サポートさせていただきます。
そんなときは、私たちインジェスターにお任せください。公式受託企業として30,000件以上の相談対応を行ってきた経験を活かし、迅速な加入ができるよう貴社の申請を代行・サポートさせていただきます。
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事前診断・アドバイス
申請の工数をかける前に、貴社に適正な産業分類を見極めるお手伝いをいたします -
申請書類の作成代行
「審査のポイント」を抑え、審査官がわかりやすい書類の作成を代行します。また会社情報の表記統一などわかりづらいポイントまでサポートします - 迅速な採用スタートのお手伝い
迅速な審査合格をお手伝いするだけでなく、審査状況の確認など採用活動の具体化に必要な情報をご提供します
その他、審査スケジュールや審査に関する最新情報も提供します。

株式会社インジェスター所属。2020年に入管庁の「特定技能総合支援コールセンター」センター長に就任。以後、出入国在留管理局での窓口対応、特定技能マッチングイベントの運営責任者、経産省の特定技能製造業協議会の事務局統括などを歴任。製造業分野における特定技能外国人受入れ支援で3年以上の実務経験を有し、申請サポートや協議会加入に関する豊富な知見を持つ。